食品包装界の新星『スキンパック包装』
皆さん、スキンパック包装ってご存知でしょうか?
この写真の牛肉、一見すると包装されていないように見えますが、実はこれ、薄いフィルムでピッタリと密着して包装されています。こういった包装形態のことを『スキンパック包装』といい、最近各種メディアでも取り上げられて話題となっています。
今回はそんな新たな包装形態、スキンパック包装に関してご紹介していきたいと思います。
▶目次
・包装界の新星「スキンパック包装」とは?
・「スキンパック包装」何がいいの?
・実は誤解が多い!?本当に新鮮なお肉の色とは
・「スキンパック包装」で食品業界を支える!
包装界の新星「スキンパック包装」とは?
スーパーの精肉コーナーでよく見かけるのはトレーにラップがかけられた包装形態(トレーラップとする)ですよね。
この形態に慣れてしまっていて皆さん何も疑問を抱かないかもしれませんが、よく考えると他の食品は包装によってより長い消費期限を実現しているのに対してお肉は3日程度しか日持ちしません。
この常識に対して革命を起こす新星がこのスキンパック包装なのです。
スキンパック包装はフィルムが皮ふ(スキン)のようにしっかりと中身に密着していること、そして大気中の酸素を遮断して中身を守るバリアフィルムを使うことで、酸化や腐敗を防ぐという特徴から驚異の消費期限延長を実現することができます。
日本ではまだあまり見かけませんが、ヨーロッパではこのスタイルが主流。
日本でも徐々に脱トレーラップ化の動きがあり、採用されているスーパーも出てきているようです。
皆さんのお近くのスーパーでもよく探してみるとあるかもしれないですね。
「スキンパック包装」何がいいの?
とはいえ、「スキンパック包装、見た目が違うだけで何がそんなにいいの?」と思ってしまいますよね。
今回調査すると他にも色々なメリットがありました。
《メリットその1》 圧倒的な鮮度保持効果!
お肉を買うと必ず気にしなければならないのが消費期限。
買ってすぐ食べないといけないという気持ちが皆さんにも少なからずあるのではないでしょうか。
トレーラップでの消費期限は牛肉の場合、大体3~5日程度なので買い置きをして好きなタイミングで食べることもできません。
スキンパック包装は牛肉の場合、トレーラップに比べ約3倍、なんと16日程度まで消費期限を延ばすことができます。
月初めに買ったお肉を冷凍せずに冷蔵保存で月末に食べることができるのです。
驚きの鮮度保持効果!一般消費者としてはびっくりですよね。
《メリットその2》ずれない!漏れない!
お肉を買ったあと、エコバッグの中でトレーからじわじわと肉汁(ドリップ)が漏れてしまっていること、よくありませんか?
衛生的にも良くないし、何よりお気に入りのバッグが汚れてしまいます。
スキンパック包装はピタッと密着しているのでお肉がずれないし、肉汁(ドリップ)漏れも防止できるので、お肉のトレーをさらにポリ袋に入れる必要がなくなり、そういった面でも簡単にプラスチック使用量が削減できます。
また、買った後あとの保管の際はお肉をたて・よこ・ななめ、どんな向きでも保管できるので、冷蔵庫内の隙間をうまく埋めることができそうですね。
実は誤解が多い!?本当に新鮮なお肉の色とは
牛肉といえば、赤色!と思われる方も多いと思いますが、実はこの色、本当のお肉の色ではないのです。
本当のお肉の色は赤褐色と言われ、やや黒みがかった赤色になります。
では、スーパーの牛肉はなぜ赤いのでしょうか?
それは酸素が鍵になります。
お肉にはミオグロビンという色素タンパク質が多く含まれており、実はこれがお肉の赤を演出している主役です。
このミオグロビンはもともと赤褐色なのですが、酸素に触れると赤色になります。
トレーラップで売られている真っ赤なお肉は酸素に触れてしまっている証拠であり、やや黒みがかった赤褐色のお肉の方が実は新鮮なお肉の色なのです。
スキンパック包装は酸素を通さないフィルムを使用するので、包装されたお肉は真っ赤なお肉にはならず、肉本来の色である赤褐色になります。
スーパーで真っ赤なお肉を選ぼうとする方がいたら、「新鮮なのは赤褐色のお肉の方ですよ!」と一言教えてあげてください。
「スキンパック包装」で食品業界を支える!
ここまででスキンパック包装の消費者メリットをお伝えしましたが、このスキンパック包装は日本の食生活、さらには食品業界を支えていく救世主ともいわれています。
消費期限延長でメリットがあるのは消費者だけでなく、生産者やお店に対してもあるようです。
商品を過剰に並べて販売する日本では、消費期限切れで売れ残ってしまったお肉が毎日かなりの量、食品ロスとして捨てられてしまっています。
スキンパック包装は消費期限を延長させることでそういった無駄な食品ロスを大幅に削減することが可能です。
スーパーやお店では商品管理の手間も少なくなり、人手不足に対しての改善になりますし、生産者に関しても過剰生産がなくなり、日々の生産を最適化することが可能です。
昨今のSDGsの考えにもばっちり当てはまっていますね。
今回は包装界の新星と言われているスキンパック包装に着目してご紹介しました。
今度スーパーで見かけたときは是非、一度買ってスキンパック包装の効果を実感してみてはいかがでしょうか。